研究概要 |
Neovasifuranone類は植物病原菌Neocosmospora vasinfecta NHL2298の生産する植物毒素である。無細胞系においてneovasifuranone A aldehyde (NFA aldehyde)がneovasifuranone A (NFA)に変換されることがこれまでの研究でわかっている。また13年度、この反応を触媒する還元酵素を調べ,この還元酵素が2種類存在すること,さらにそれぞれの酵素の諸性質が異なることを明らかにすることができた。14年度はこれらの酵素のうち活性の強かった還元酵素-1についてSDS-PAGE上でそのタンパクバンドを特定できるまで精製することを試みた。 メチオニンを添加した麦芽培地上で,N.vasinfecta NHL2298株を24℃,7日間静置培養した。得られた菌体を緩衝液中,乳鉢,乳棒,海砂を用いて摩砕し,還元酵素を抽出した。この抽出液を遠心分離し,サイトゾル画分を得た。これをDE52,Sephacryl S-300,TSKgel G3000SW,Mono Qカラムクロマトグラフィーで精製した。この精製法により,還元酵素-1の比活性はサイトゾル画分の段階に比べ110倍上昇した。このフラクションをSDS-PAGEで分析したところ,分子量40kDa付近に1本の主要なバンドを認めた。この主要なバンドが目的の還元酵素-1であることを確認するために、native PAGEを行った。泳動後、主要なバンドを含むゲルを切り出し、このゲルを用いて酵素反応を行い、このバンドのタンパク質がNFA aldehydeからNFAへの変換を触媒する還元酵素-1であることを確認した。
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