研究課題/領域番号 |
13660191
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
井田 齊 北里大学, 水産学部, 教授 (90050533)
|
研究分担者 |
根本 隆夫 茨城県内水面水産試験場, 河川部, 主任
林崎 健一 北里大学, 水産学部, 講師 (80208636)
|
キーワード | アユ / 霞ヶ浦 / 陸封化 / アロザイム / 耳石 / 食性 / EPMA / 餌料生物 |
研究概要 |
霞ヶ浦水系のアユは、1974年の水門閉鎖以前からその分布は確認されていたがごくわずかであった。しかし、水門閉鎖から20年経った1992年に突如として多獲されるようになった。本研究はその増加原因や個体群維持の機構に関する基礎的知見を得て、その保全と利用に資することを目的としている。まず、アロザイム分析により霞ヶ浦水系で増殖したアユは遺伝的に海系アユに極めて近いことが明らかとなった。しかし、近隣河川の海系アユとは対立遺伝子組成が少し異なり、クラスター分析により海系アユとは別のグループを形成した。また、水系内でサンプリング地点ごとの集団間の遺伝的距離は、全国から採取されたアユ集団間の距離に匹敵した。さらに、本水系内ではホモ接合体過剰の傾向がみられ、水系内に遺伝的に不均一な分集団が存在する可能性を示唆した。また、霞ヶ浦水系内でとられたアユの少数標本について、電子線プローブマイクロアナライザーにより耳石のSr/Ca比を調べたところ海に降りていないことが確認された。霞ヶ浦湖内において、稚魚期初期は、かいあし類ノープリウス幼生、オナガミジンコ属等の小型プランクトンが主要餌料であったが、その後、成長に伴い霞ヶ浦におけるプランクトンの中心であるケンミジンコ目へと変化した。更に5月の後半以降ではより大型の餌料であるイサザアミへの変化が見られた。流入河川恋瀬川において、アユの餌料は遡上初期より付着藻類が主体であったが、遡上初期の5月では、昆虫等も捕食しており餌料種類数も多かった。
|