心筋保護作用のある薬物は虚血に関連した不整脈を抑制し、虚血性心疾患に有効なことが期待されている。我々は純粋なNa/H交換阻害薬が、イヌやラットの虚血再灌流不整脈を抑制するので、臨床上も有用であろうと考えるようになった。また、これらNa/H交換阻害薬の作用機序として、アシドーシスからの急速な回復を遅延させることでNa/Ca交換機構からのCa流入を抑制し細胞内Ca過負荷を軽減させることが想定されている。本年はNa/H交換阻害薬のFR168888と、新しいNa/Ca交換抑制薬のSEA0300につきラットやイヌの心筋梗塞不整脈を用いて、再灌流後の不整脈を抑制するかを検討した。FR168888は従来のNa/H交換阻害薬と同様に抗不整脈作用を示したが、類似のCa移動を介してCa過負荷を押さえると思われたNa/Ca交換抑制薬のSEA0300には抗不整脈作用は認められなかった。しかし、SEA0300にはジギタリスによるCa過負荷によると考えられる不整脈を抑制した。Na/Ca交換薬については新規の薬物を用いた比較実験が必要と考えられる。
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