研究概要 |
1)Cytokine-induced neutrophil chemoattractant(CINC)-1ケモカインの中和抗体作成 CINC-1 cDNAを持つpRIT2TベクターをDH5α大腸菌に導入することによりProtein A融合CINC-1蛋白を精製し,これを1週毎に5回皮下注射することによりウサギを能動免疫した.血清蛋白のWestern blotで目的の蛋白の発現を確認した後,ウサギを脱血,血清分離し,IgG分画を分離精製し,抗CINC-1ポリクローナル抗体を得た. 2)抗CINC-1抗体の作用 CINC-1ポリクローナル抗体を50,100,200,500μg/body前投与しておくと,組織所見,BAL蛋白濃度,好中球数から見て量依存性にventilator-induced lung injury(VILI)は抑制された.BAL液上清のCINC-1濃度の上昇も抑制されており,中和活性も確認された.あらかじめLPSにより肺傷害を起こした時も,30ml/kgの1回換気量で3時間換気するとVILIにより肺傷害はさらに増悪した.この時,半定量RT-PCRにより肺組織のCINC-1 mRNA発現の増強が示された. 3)単離II型肺胞上皮細胞に対する力学的ストレス負荷とCXCケモカイン産生 単離II型肺胞上皮細胞(II型細胞)に50cmH_2Oの圧(ストレス)負荷を15回/分,3時間かけると,培養上清中のCINC-1濃度は圧負荷なしの細胞に比べて有意に上昇した.あらかじめステロイドを加えておくとCINC-1濃度は低かったが,これに圧を加えると同様に有意に上昇した.II型細胞は力学的ストレス時にCINC-1を産生することが示唆された.
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