研究概要 |
1.ラットventilator-induced lung injury (VILI)モデル作製と組織、病態の変化 1回換気量30ml/kg(高TV群、3時間)換気群では1回換気量10ml/kg(低TV群、3時間)群に比べて肺うっ血、出血、好中球浸潤が著明でありVILIが生じていた。気管支肺胞洗浄液(BALF)中CXCケモカインの中ではcytokine-induced neutrophil chemoattractant-1(CINC-1)のみ有意(p<0.05)な上昇が認められた。免疫組織染色ではCINC-1は主として末梢気道細胞と肺胞上皮細胞に発現していた。VILI肺ではCINC-1 mRNAの発現が有意に亢進していた。 2.VILIにおける抗CINC-1中和抗体の効果 ウサギで作製した抗ラットCINC-1ポリクローナル抗体50,100,200,500μg/bodyを前投与しておくと、上述の肺組織所見、BALF蛋白濃度、好中球数から見て、高TV群(VILI)の肺損傷は量依存性に抑制された。VILI時のラット死亡も有意に減少した。BAL液上清のCINC-1濃度の上昇も抑制されており、中和活性も確認された。 3.単離II型肺胞上皮細胞に対する力学的ストレス負荷とCINC-1産生 ラットから単離したII型細胞に50cmH_2Oの圧(ストレス)負荷を15回/分、3時間かけると、培養上清中のCINC-1濃度は圧負荷なしの細胞に比べて有意に上昇した。あらかじめステロイドを加えておくとCINC-1濃度は低かったが、これに圧を加えると同様に有意に上昇した。II型細胞は力学的ストレス時にCINC-1を産生することが示された。
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