研究概要 |
完全脳虚血モデルを用いた、Protein kinase C(PKC), Calcium/calmodulin dependent protein kinase II(CaMKII)への増強したアシドーシスの及ぼす影響についてのこれまでの研究成果の上にたち、さらに研究を進めるために、脳保護作用が認められてきている免疫抑制薬FK506のPKC, CaMKII, P-tyrosineへの影響を砂ネズミの虚血再潅流モデルを用いて検討した。 【方法】雄砂ネズミの総頚動脈閉塞による前脳虚血及び再潅流モデル(5分間虚血)を用いた。虚血再潅流後1分にFK506を静脈内に投与し、再潅流後1時間、24時間にて液体窒素にて脳を凍らせ、保存した。海馬CAlセクターを切り出し保存した。サンプルのhomogenateを細胞質分画、膜分画に分けた後western blot法にてPKCγ、CaMKIIを測定し検討した。 【結果と考察】FK506投与群にてPKCγ,CaMKIIの細胞質より膜分画へのtranslocationの回復が促進しており、vehicle投与群では24時間再潅流時でも有意に上昇している結果がえられた。FK506投与はアシドーシス増強によるPKC, CaMKIIの動きと正反対の動きを示しており、PKCγとCaMKIIは再潅流24時間でtranslocationが遷延している場合細胞死につながることが強く示唆された。
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