研究概要 |
1.伸長ポリグルタミン(polyQ)タンパク質の凝集体形成とアポトーシス誘導に及ぼす分子シャペロンHsp105の効果の検討。 伸長polyQを含む短縮型アンドロゲンレセプター(tAR)とGFPの融合タンパク質をCOS-7細胞やSK-N-SH神経細胞に発現させると、24のCAGリピートをもつtAR24では細胞全体に均一な局在性を示したが,CAGリピートが65あるいは97のtAR65およびtAR97では細胞質あるいは核内に凝集体の形成が認められ、そのうち核内凝集体をもつ細胞にアポトーシスが誘導された。しかし、Hsp105αをtAR97と共発現させると、tAR97の凝集体形成が抑制され、さらに、この凝集体形成の抑制にはHsp105αのβ-sheetとα-helix領域が必須であった。 2.伸長polyQタンパク質の凝集および細胞毒性に及ぼす担体タンパク質の影響 伸長polyQを含むtARあるいはpolyQ部分とのGFP融合タンパク質(tAR24,tAR97,polyQ24,およびpolyQ97)をCOS-7細胞に発現させ、それらの凝集体形成とアポトーシス誘導について検討し、polyQ97がtAR97よりも高い凝集体形成とアポトーシス誘導を示すこと、またtAR24とpolyQ24は共に凝集体を形成しないが、polyQ24はアポトーシス誘導を引き起すことを明らかにした。これらの結果は、polyQの坦体タンパク質によって細胞毒性が異なることを示唆する。 3.現在、伸長polyQタンパク質の発現により細胞内で変化するタンパク質のプロテオーム解析を試みている。COS-7細胞でtAR97の発現により減少するタンパク質が4つ認められ、今後、これらのタンパク質を同定するとともに、伸長polyQタンパク質による細胞毒性やアポトーシス誘導にどのように関与しているのかを検討してゆく。
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