研究概要 |
我々はすでにetodolacの慢性リンパ性白血病(CLL)に対するin vitro及びin vilvoでの抗腫瘍効果について第91回アメリカ癌学会、第62回日本血液学会及び第43回日本臨床血液学会で報告している。今回、他の白血病や固形腫瘍に対する抗腫瘍効果も検討し、etodolac(R活性体とS活性体)を小児固形癌細胞株にin vitroで投与し、感受性をスクリーニングした。 (A)In vitroにおける感受性試験;R-etodolacとS-etodolacが感受性を示した神経芽細胞腫細胞(NB)株(CHP126,LAN2)において他の治療薬との併用効果を調べるため、NBの治療薬であるcyclophosphamideやvincristineとetodolacを共培養して、CHP126,LAN2のcell viabilityをMTT法により測定した。殺細胞効果はいずれもadditiveでsynergisticな効果を示す薬剤はなかった。またCML急性転化の患者骨髄より分離した芽球がetodolacに対してin vitroにおいて感受性を示した。 (B)Etodolacの細胞死誘導機序として、(a)ミトコンドリア機能(酸素消費、膜電位)の低下(b)Bcl-2 family遺伝子のMcl-1遺伝子蛋白の発現低下(c)caspase 9,3の活性化がみられ、ミトコンドリアを介する系であることが示された。 またCLL患者に対しては、SDS-101(R-etodolac)によるphaseI臨床試験にて2000mg内服まで安全性が確認されたため、現在、欧米にて多施設phaseIb/IIa臨床試験が進行中である。
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