研究課題/領域番号 |
13671194
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山岡 孝 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 助教授 (40263826)
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研究分担者 |
杉野 弘 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授 (50211305)
野地 澄晴 徳島大学, 工学部, 教授 (40156211)
板倉 光夫 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 教授 (60134227)
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キーワード | 膵島 / 膵β細胞 / トランスジェニックマウス / Cdk4 / 再生医療 / 糖尿病 / 細胞周期 / p16 |
研究概要 |
【目的】糖尿病の再生医療を目指して、β細胞の増殖機構におけるサイクリン依存性キナーゼ4(Cdk4)の重要性をin vivoで検討する。 【方法】阻害蛋白であるp16が結合しないヒトCdk4(R24C)変異体をインスリンプロモーターによって発現するトランスジェニックマウス(Tgマウス)を作製した。 【成績】Tgマウスの膵島では、ヒトCdk4(R24C)mRNAの発現がRT-PCRによって確認され、ウェススタンブロット解析の結果、総Cdk4蛋白量が対照マウスと比べて5倍に増加していた。さらにCdk4(R24C)の免疫沈降によってp16との解離が確認され、組み換えRb蛋白を基質として用いたキナーゼアッセイによりCdk4活性の上昇、リン酸化Rb蛋白を認識する抗体を用いたウェスタンブロット解析よってリン酸化Rbの増加が認められた。Tgマウスの膵組織標本では、増殖している細胞のマーカーであるPCNAが陽性のβ細胞が多数認められ、β細胞の著しい増殖によって、最高で膵臓全体の約50%にまで膵島面積が拡大していた。免疫染色の結果、増加しているのはβ細胞のみで、他のα、δ、PP細胞は増加していなかった。増殖したβ細胞はインスリン顆粒を豊富に含有し、GLUT2を発現し、高度に分化していた。16ヶ月齢までのTgマウス観察においてもインスリノーマや低血糖の発生はなく、糖負荷試験では対照マウスよりも優れた耐糖能とインスリン分泌能を示した。 【結論】Cdk4を活性化させるだけで高度な分化状態を保ったβ細胞を増殖させ得ることがin vivoで示された。すなわち、Cdk4はβ細胞の増殖を促進する糖尿病の再生医療において、薬物の標的分子となる可能性が示された。
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