研究課題/領域番号 |
13671508
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
名井 陽 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10263261)
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研究分担者 |
中瀬 尚長 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00283755)
上田 孝文 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00324773)
吉川 秀樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60191558)
鳥塚 之嘉 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20324775)
橋本 伸之 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50324752)
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キーワード | 骨肉腫 / 転移性肺腫瘍 / 臓器特異性 / 微小環境 / 遺伝子発現 / VCP / NF-kB / アポトーシス |
研究概要 |
骨肉腫は臨床的に高率に肺転移を生じるが、その分子メカニズムは十分解明されていない。マウスDunn骨肉腫細胞は、尾静脈注射すると約80%で肺に転移巣を形成するが、他の臓器ではほとんど転移巣を形成しない。このような臓器特異性は、尾静脈より注入された細胞が肺の毛細血管系で初めてトラップされるという循環系の解剖学的要因が大きいと想像される。この影響を排除するために、皮下に臓器片あるいはゲル内封入した各種臓器細胞を移植したマウスにおいて同様のDunn骨肉腫細胞尾静脈注射モデルを作成したところ、やはり肺への親和性が認められた。すなわち、骨肉腫細胞の好肺転移性は解剖学的要因のみでは無いことが明らかとなった、そのメカニズムは十分解明されていないが、in vitroにおいて肺組織の培養上清にDunn骨肉腫細胞の増殖刺激活性が認められたことはその一因と考えられる。 我々が樹立したマウスDunn骨肉腫細胞由来の高肺転移株LM8細胞は、マウス皮下に移植すると2〜3週間で肺転移巣を形成する。LM8とDunnの遺伝子発現の違いをsuppression subtractive hybridization(SSH)法にて検討したところ、VCP(valosin-containing Protein)がLM8で強く発現していることがわかった。VCPはIk-Bをユビキチン化してNF-kBを活性化することが知られているが、LM8およびVCPを強制発現したDunnではコントロールのDunnと比較してNF-kB恒常的に活性化しており、TNF-αによるアポトーシス誘導が抑制されていた。また、皮下移植肺自然転移モデルにおいてVCP強制発現DunnはLM8と同様の高い肺転移能を示した。このことからLM8の高い肺転移能はVCPの強発現によるNF-kBの恒常的活性化によりアポトーシス抵抗性となっていることがひとつの原因と考えられた。
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