研究課題/領域番号 |
13671834
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 政代 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80252443)
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研究分担者 |
柏井 聡 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50194717)
田辺 晶代 京都大学, 医学研究科, 助手 (80243020)
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キーワード | 神経幹細胞 / 網膜移植 / 胎児網膜 / 毛様体 / 虹彩 / ホメオボックス遺伝子 / Crx / 視細胞 |
研究概要 |
我々は過去に成体ラット脳由来の神経幹細胞を硝子体中に移植すると移植細胞はすべて網膜に付着し、分化途中の幼若ラット網膜や障害を与えた成体ラット網膜では網膜内に生着し、20%以上は神経へと分化することを確認した。しかし、網膜神経の分化に最適な環境である胎児網膜に移植しても脳由来の神経幹細胞から視細胞を分化誘導することはできなかった。 そこで、眼球組織から神経幹細胞/神経前駆細胞を培養した。ラット胎児網膜からは効率よく視細胞に分化する神経前駆細胞がneurosphereの形で得られた。また、ラット成体の毛様体色素上皮や虹彩上皮を神経幹細胞と同様の条件で培養して分裂増殖する細胞に、視細胞に特異的なホメオボックス遺伝子を導入することによって視細胞のマーカーであるロドプシンやリカバリンを発現させることができたが、海馬由来の神経幹細胞ではロドプシンの発現はなかった。このことから、同様の形態を示す神経前駆細胞も組織特異性を持つと考えられた。ただし、胎児網膜から得られた神経前駆細胞は継代の少ない細胞は豊富に視細胞へと分化するが、継代を重ねると視細胞への分化が減少することが確認された。神経前駆細胞は継代によって組織特異性を失ってさらに未分化な状態に移行するものと思われた。 さらに視細胞に特異的なホメオボックス遺伝子Crxの導入では視細胞のマーカーを発現する細胞が、双極細胞に特異的なホメオボックス遺伝子Chx10の導入では双極細胞のマーカーを発現する細胞が得られた。このことは遺伝子導入により、神経幹細胞分化の方向性を操作することが可能であることを示す。
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