研究概要 |
本研究は,創傷治癒過程における各種サイトカインならびに上皮骨格構成因子の再生上皮組織内における遺伝子発現レベルの経時的な発現変化について,背部皮膚創傷モデルマウスを用いて明らかにしようとするもめである.今年度は以下の結果が得られた.1.8週齢の雄性C3H/HeNマウスの背部皮膚に15×15mmの創を作製後,21日間治癒経過を観察し,その過程における再生上皮組織での各種遺伝子発現変化をRT-PCR法を用いて検討した.その結果,interleukin-6(IL-6),interferon-γ(IFN-γ)ならびにkeratin 16(K16)mRNAは,創形成後よりその発現が増強し,創形成後1週間までその発現がみられた.また,tumor necrosis factor-α(TNF-α)mRNAは,6時問後より発現が増強し,21日後までその発現がみられた.2.大腸菌由来リポ多糖体を腹腔内投与したエンドトキシン血症モデルマウスを作製し,創傷治癒経過について検討したところ、.無投与群と比べて治癒が遅延した.また,遺伝子発現変化については無投与群と比較して1L-6mRNAの差異はなかったが、IFN-γおよびK16 mRNAの発現は持続した.次年度は,これら遺伝子産物の発現局在について組織学的な検討を行なうとともに,ヒト表皮角化細胞株を用いて創傷治癒過程において発現変化のみられた遺伝子産物と菌体表層成分に対する応答性の関係について明らかにすることを計画している.
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