研究概要 |
1.日本語に関連しては、専門雑誌論文のコーパス構築を続行し、テキスト分析を行った。又、web教材の作成に着手した。構築したコーパス(「電子情報通信学会2000年(基礎・境界、情報・システム、エレクトロニクス、通信の4分野)版」4,098,776文字、「日本機械学会誌文集(C編)2001年」138,333文字)に基づき、特定のジャンルにおいて選択される傾向の高い言語パターンの解明を行った。 ここで対象となるジャンルの工学論文は人文社会科学系の論文と比べて文章構造に共通性が高い。この工学論文内部の文章構造と言語パターンの関係をコロケーション・フレームワークの概念を用いて分析した。コロケーション・フレームワークというのは文要素の非連続連鎖で、語彙項目がこのフレームワーク内に収まる。この分析方法の結果、学論文というジャンルの言語的慣習により特定の言語パターンの選択が条件づけられているということが明らかになった。 2.英語に関しては、構築したコーパスの質量両面の充実を図り、さらに分析ソフトによって解析した結果を用いて、web教材を作成し、さらに学生に自動的にフィードバックを与える手法を提案した。 作成したweb教材は、コーパス分析結果に基づいて重要項目を設定し、それを問題文として文構造を問う教材と、コーパスから選定した重要単語を独習する教材である。前者においては、ただ問題をやるだけでなく、個々の学習履歴に基づいて不正解となるパターンをフィードバックし、学生に自分の弱点を認識してもらう双方向的な学習を可能にした。又、後者の単語学習においては、これも問題生成を自動化したものであるが、その際に各単語の不正解選択肢をコロケーションに基づいて決定し、回答者にとって無意味な選択肢が採用されないような工夫を行った。これらの手法により、コーパスを使ってより良質なweb教材を生成することが可能となった。
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