平成13、14年度にわたる本研究は、環境教育が実践的性格をもち、かつ生徒も日常の消費生活において環境保全的な活動に大なり小なり参加している実態を踏まえて、消費者教育の観点に立つた環境意識調査を実施・分析したものである。まず、各学校段階における児童生徒の環境意識・スタンスについて、具体的な取組を通して口頭発表を行うとともに、アンケート調査を企画した。調査の柱は、(1)環境問題の受け止め方、(2)消費行動の環境志向性、(3)グリーン・コンシューマー度、(4)環境問題の情報源、(5)環境対策の選択、(6)これからの暮らしと社会(因子分析)、の6つで、中・高校生(2年生)を対象とし、中学校は青森市(2校)及び埼玉・加須市(2校)、高校は東京(3校)の3地区から、それぞれ400程度のサンプルを予定した(結果的には376、396、516)。調査時期は平成14年12月である。 調査の結果、ア)環境問題の深刻さを自覚しながらも、できる範囲内の保全活動は低調であること、イ)環境問題に関する情報源は圧倒的にマス・メディアであること、ウ)環境保全対策は直接規制的な方法を支持する傾向が強いこと、エ)今後の暮らしと社会については、因子分析を行い、環境保全志向ライフスタイル、経済成長志向、環境保社会志向、ライフスタイル変革志向、脱クルマ社会志向などの因子を得た。この調査はもともと環境省の提案する3つ循環型社会シナリオを参考にしたものであるが、調査結果からは環境保全意識が幾つかの因子に散在しており、今後の循環型社会イメージが拡散していることを示唆している これらの調査結果は、中・高校生の環境意識を代表するものではもちろんないが(サンプリングが小規模)、いずれも学習指導上の手がかりとして有意義であると考える。
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