本報告書は、1958(昭和33)年の「道徳の時間」の設置と1966(昭和41)年の中央教育審議会答申「期待される人間像」に関わる歴史的展開を中心として、その研究資料の目録化と両者の成立過程に関する論稿を収めた。前者については、国立教育政策研究所教育図書館所蔵の「辻田力文書」、「大田周夫文書」、「大島文義文書」の中から「道徳の時間」設置をめぐる教育課程審議会資料に重点をおいた整理を行ない、研究分担者の山田恵吾(茨城大学)が特に「大島文義文書」に基づく解題を執筆した。また、後者については、研究代表者の貝塚茂樹(国立教育政策研究所)が、広島大学附属図書館所蔵の「森戸辰男関係資料」及び横浜市史編纂室所蔵の「森戸辰男関係資料」の中央教育審議会資料から、「期待される人間像」に関わる資料を抽出し、それら資料の目録化と同時に、その成立過程についてまとめた。 なお、特に前者については、戦後教育政策における道徳団体の論議と役割が重要であることに鑑み、1958(昭和33)年の「道徳の時間」の設置に関わる道徳団体懇談会資料を研究協力者の藤田祐介(筑波大学大学院)が発掘し、それらの資料紹介と道徳団体の役割についての考察を行った。 さらに、本報告書では、2002(平成14)年に実施した地方の教育関係機関に対する道徳教育関係の資料の所在確認調査に基づきながら、これら資料の目録(総数952点)と戦後道徳教育関係の文献目録(図書総数582点)を付した。また、獨協学園のご協力を頂きながら、天野貞祐元文相の文相在任中のメモである「備忘録」をマイクロ化し、その全文を附録として掲載した。
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