研究概要 |
オブジェクト指向ソフトウェア開発ではUML,ステートチャート,カラーペトリネットが多く利用される.本研究では,オブジェクトの動作を視覚表現可能なカラーペトリネットで,オブジェクトの静的関係をUMLで記述するという仕様記述モデルを採用し,対象とする有用な部分クラスを決定し,その記述・検証・実行のための手法を考案し,支援系を作成する.今年度は,カラーペトリネットに時間の概念を導入したモデルの考案を行い,そのモデルのグループウェアへの適用について研究を行った.カラーペトリネットの発火に実行時間制約を付けるだけでなく,発火に時間幅を設け中断を許すところに特徴があり,その結果,グループワークなどの分散協調作業がより自然に記述できる.提案ペトリネットで記述されたグループワークの全体記述から導出された分散実行クライアントは実行スケジュールに従い,実行すべき動作(コマンド,プログラム)を逐次実行していく.これらの中間結果を研究会で報告した.また,分散オブジェクトから構成されるGUIアプリケーションを自動導出するための方法論について考案した.提案手法では,GUIの部分的な複数個の動作系列の記述から,複数の時間オートマトン自動合成し,時間オートマトンを各オブジェクトに対応させてプログラムコードを生成することによって時間制約を持つGULを効率よく生成することができる.この方法論を研究会で発表した,今後は,この手法に基づいたGUIの分散オブジェクトプログラムを生成するプログラム導出系を作成する.またカラーペトリネットで記述された全体仕様に対する性質検証の方法論についても今後検討を進めていきたい.
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