研究概要 |
本年度は、ヒトてんかん疾患のうち皮質異形成と海馬硬化症例において、グルタミン酸トランスポーターの発現を免疫組織化学的に検討した。皮質異形成のdysplastic neuronにおいて、EAAC1の細胞内局在の変化が観察された。ラットモデルではカイニン酸投与てんかんラットを作製し、EAAC1蛋白とmRNAの経時的変化を調べた。カイニン酸投与後6時間に大脳錐体細胞においてEAAC1mRNAは発現が低下し蛋白はゴルジ体周囲への集積が認められ、蛋白の移動によりグルタミン酸取込みが調節されている可能性があると考えられた。カイニン酸投与後1週間以降では扁桃体外側と視床内側に発現の低下がみられた。以上の結果の一部をSociety for Neuroscience 31st Annual Meeting(Furuta, A et al., abstract 815.5, Nov 14, SanDiego)で発表し、現在論文投稿準備中である。また、宮崎医科大学産婦人科、池田先生らのグループとの共同研究により、新生児ラット脳低酸素・虚血モデルにおいてグルタミン酸トランスポーターの変化を調べたところEAAC1がpenumbra領域の神経細胞に高発現していることが判明し、低酸素虚血刺激により誘導される可能性が示唆された(Fukamachi, Set al. Dev Brain Res2001)。来年度も引き続きヒト外科切除材料やラットモデルで得られた知見を解析し発表するとともに、培養細胞を用いてEAAC1の機能的側面を明らかにしていきたいと考えている。
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