研究概要 |
平成14年度は、前年度の研究で明らかになったてんかんにおける神経性グルタミン酸トランスポーターEAAC1(EAAT3)の発現と細胞内局在の変化について実験の継続とまとめを行った。カイニン酸投与ラットてんかんモデルにおける大型錐体神経細胞と、ヒト難治性てんかんである皮質異形成(forcal cortical dysplasia; FCD)のdysplastic neuronにおいて、膜蛋白であるEAAC1はゴルジ体周囲に移動しており、この細胞内局在移動によるグルタミン酸取込みの調節が神経細胞に保護的に働いているのではないかと考えた。ラットてんかんモデルの結果については現在論文投稿中である(Furuta, A et al., Translocation of glutamate transporter subtype EAAC1 protein in kainic acid-induced rat epilepsy.)。FCDにおけるグルタミン酸トランスポーターの変化については、第32回米国神経科学会(2002年11月3日)にて発表した。また、EAAC1の細胞内局在変化は、一部の非神経性脳腫瘍においても観察され、神経細胞に特異的な変化ではなくEAAC1分子の特性である事が判明した。さらに最近は培養細胞系において、green fluolescent protein(GFP)遺伝子導入により可視化したEAAC1を用いて、種々の刺激に対するEAAC1蛋白の細胞内移動を観察している。これらの実験を通じてEAAC1のinternalizationの機序と、その神経細胞保護における意義を検討している。
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