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2014 年度 実績報告書

B型肝炎の病態解明を目指した新規モデルマウスの作成と免疫/腫瘍学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 13J02056
研究機関京都大学

研究代表者

犬塚 義  京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードHBV再活性化 / 獲得免疫 / 疾患モデルマウス / Ifnlr1 / CXCL13
研究実績の概要

ALB-CreERT2-HBsAg cTgマウスにタモキシフェン刺激をすることにより、HBsAg発現誘導が起こることは確認できたが、その後のALT上昇や組織学的な肝炎像を確認することはできなかった。一方で、マイクロアレイRNA発現解析にてⅢ型IFNであるIfnlr1発現の亢進が16倍以上に亢進していることが確認され、HBs発現に対して免疫応答が起こっていることがわかった(自然免疫モデル)。
申請者は昨年、再活性化したHBVの臨床検体を用いたゲノム解析において、再活性化したウイルスのheterogeneityが非常に乏しい(ほぼ単一なウイルスで占められている)ことや、再活性化前のHBsAg陰性HBcAb陽性の状態で肝臓内に潜むウイルスも同様にheterogeneityが非常に乏しく、再活性化前のウイルスのheterogeneityが再活性化後のウイルスのheterogeneityを反映しているという新たな知見を得て論文発表を行っている。今回は、HBV再活性化モデルとしてのALB-CreERT2-HBsAg cTgマウスの使用を計画し、HBsワクチンを事前にマウスに投与することにより、HBs抗原に対する免疫を獲得し、それらのマウスに任意の時期にタモキシフェン誘導にてHBs抗原を発現させることで起こる免疫応答につき評価した。タモキシフェン投与後、HBsAg mRNAの発現上昇が起こり、組織学的にもマクロファージやリンパ球の浸潤が確認され、免疫応答が惹起されていることがわかった。マイクロアレイRNA発現解析にて、CXCL13をはじめとするTh1,Th2,B細胞を誘導する様々なケモカインの上昇を認めた(獲得免疫モデル)。今後は獲得免疫モデルにHBeAgタンパクの発現が加わることにより、発現上昇を認めたサイトカインの変化についてmRNAレベルで評価していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

元来は慢性肝炎を模倣した動物モデルを想定していたが、HBsAg発現は見られるが、組織学的な肝炎を見ることはなかった。ただし、今回HBsワクチンを用いて同様にタモキシフェン刺激によりHBsAg発現誘導をすることで免疫応答が起こったため、予定とは異なり、疾患としてはHBV再活性化の病態と類似したマウスモデルが成立した。このHBV再活性化の疾患マウスモデルの報告は世界でもまだ類を見ないという点においては、新しい発見につながる可能性を秘めていると考えており、研究を進めていく。

今後の研究の推進方策

precore領域のG1896A変異HBVと劇症肝炎との関連が疑われており、ひとつにはHBe抗原の免疫寛容化が仮説として挙げられているが、いまだにコンセンサスを得ている状況ではない。
現在、G1896A変異ウイルスと宿主免疫応答と劇症肝炎の関係性を解明すべく、このHBV再活性化マウスモデルを用いて、HBeAg発現マウス(precore~Coreプラスミド)とHBeAg非発現マウス(G1896A mutationプラスミド)をマウスのtail veinからのhydrodynamic injection技術を行い、HBe抗原蛋白の発現に伴い免疫関連遺伝子発現抑制の有無につき検討を進めている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Reactivation from occult HBV carrier status is characterized by low genetic heterogeneity with the wild-type or G1896A variant prevalence2014

    • 著者名/発表者名
      Inuzuka T, Ueda Y, Morimura H, Fujii Y, Umeda M, Kou T, Osaki Y, Uemoto S, Chiba T, Marusawa H.
    • 雑誌名

      Journal of Hepatology

      巻: 61 ページ: 492-501

    • DOI

      10.1016/j.jhep.2014.04.033.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Mouse models of hepatitis B virus infection comprising host-virus immunologic interactions2014

    • 著者名/発表者名
      Inuzuka T, Takahashi K, Chiba T, Marusawa H.
    • 雑誌名

      Pathogens

      巻: 3 ページ: 377-389

    • DOI

      10.3390/pathogens3020377.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] The viral characteristics of HBV reactivation from occult carrier status triggered by chemotherapy or immunosuppressive therapy2015

    • 著者名/発表者名
      Tadashi Inuzuka, Yoshihide Ueda, Tsutomu Chiba, Hiroyuki Marusawa
    • 学会等名
      The 24th Conference of the Asian Pacific Associaton for the Study of the Liver
    • 発表場所
      Istanbul,Turkey
    • 年月日
      2015-03-13 – 2015-03-13
  • [学会発表] B型肝炎ウイルス再活性化の早期発見と核酸アナログ早期治療の有用性2015

    • 著者名/発表者名
      犬塚 義、上田 佳秀、千葉 勉、丸澤 宏之
    • 学会等名
      第102回 日本消化器病学会近畿支部例会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2015-02-21 – 2015-02-21
  • [学会発表] Clinical and viral characteristics of HBV reactivation from occult carrier status triggered by chemotherapy or immunosuppressive therapy2014

    • 著者名/発表者名
      Tadashi Inuzuka, Yoshihide Ueda, Tsutomu Chiba, Hiroyuki Marusawa
    • 学会等名
      The 11th JSH Single Topic Conferences
    • 発表場所
      Hiroshima, Japan
    • 年月日
      2014-11-20 – 2014-11-20
  • [学会発表] 化学療法・免疫抑制療法により再活性化するHBVのウイルスゲノム解析2014

    • 著者名/発表者名
      犬塚 義、上田 佳秀、千葉 勉、丸澤 宏之
    • 学会等名
      第10回 広島肝臓プロジェクト研究センター シンポジウム
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      2014-07-05 – 2014-07-05
  • [学会発表] 化学療法 ・免疫抑制療法により惹起されるHBV再活性化例の臨床像とウイルス学的特徴2014

    • 著者名/発表者名
      犬塚 義、丸澤 宏之、上田 佳秀、千葉 勉
    • 学会等名
      第24回 抗ウイルス療法研究会総会
    • 発表場所
      山梨
    • 年月日
      2014-05-08 – 2014-05-08

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公開日: 2016-06-01  

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