研究概要 |
1.X線結晶構造解析法:(1)古細菌のTyrRSとtRNA(Tyr)の複合体の結晶構造を決定し,古細菌と真核生物のTyrRSとtRNA(Tyr)が真正細菌のそれとは反応しない理由を明らかにした.(2)また,lleRSのCP1ドメインの結晶構造を決定した結果,間違って形成されたVal-tRNA(lle)を加水分解するメカニズムについて重要な知見を得ることができた.(3)古細菌のtRNAグアニントランスグリコシダーゼとtRNAとの複合体の結晶構造を決定し,tRNAがL字型とは異なるλ型の構造に変化して結合していることを明らかにした.(4)また,tRNAの3'末端のプロセシングに関与するRNase PHについてその結晶構造を決定し,tRNAとの結合モデルからその機能発現のメカニズムを示唆することができた.(5)古細菌のCCA付加酵素の結晶構造を決定した結果,真核生物および真正細菌のCCA付加酵素とは,アミノ酸配列のホモロジーが低いにも関わらず,触媒残基と基質であるCTPおよびATPとの位置関係がよく保存されていることがわかった(6)さらに,tRNAの連結反応に関与する高度好熱菌2'-5'RNAリガーゼの結晶構造を決定し,反応メカニズムについて考察した.(7)伸長反応中のT7 RNAポリメラーゼと基質アナログとの複合体の結晶構造を決定し,正しい基質を選別するメカニズムを明らかにした. 2.NMR法:(8)RNA分子の立体構造をその特徴によって分類するシステムを開発し,さらに,NMR法による構造解析結果を詳細に解析する手法として改良した.
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