研究課題/領域番号 |
14081209
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
丹羽 仁史 独立行政法人理化学研究所, 多能性幹細胞研究チーム, チームリーダー (80253730)
|
研究分担者 |
升井 伸治 独立行政法人理化学研究所, 多能性幹細胞研究チーム, 研究員 (20342850)
中尾 和貴 独立行政法人理化学研究所, 変異マウス開発チーム, 研究員 (20217657)
山中 伸弥 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育センター, 教授 (10295694)
|
キーワード | ES細胞 / 未分化性 / 初期化 / Oct-3 / 4 / Nanog |
研究概要 |
未分化状態を維持する転写因子ネットワークの全貌を明らかにするために、マウスES細胞で転写因子Oct-3/4の発現を人為的に増加または減少させたときの遺伝子発現の変化を、cDNAマイクロアレイを用いて経時的に解析した。この結果、Oct-3/4の発現変化に伴ってその発現が速やかに変動する転写因子が数多く見出され、現在それらの機能解析を進めている。また、核移植による体細胞核の初期化において、母性および胚性Oct-3/4の寄与を厳密に追求すべく、内在性Oct-3/4遺伝子座に機能的なOct-3/4と変異型緑色蛍光蛋白の融合遺伝子を挿入した遺伝子改変マウスラインを樹立し、その解析に着手した。一方、体細胞におけるOct-3/4の人為的活性化が初期化を誘導しうるか、あるいは初期化の効率改善に寄与しうるかを解析するために、ホルモンで誘導可能なOct-3/4とステロイドホルモン受容体リガンド結合領域の融合遺伝子の作成を試みた。種々の受容体リガンド結合領域を用いて検討した結果、グルココルチコイド受容体との融合遺伝子産物が、理想的にホルモンによってその活性を制御しうることを明らかにした。現在、さらにこれを内在性天然型ホルモンには反応せず、人工ホルモンにのみ反応する様に改造を進めており、これが完了次第、この人工遺伝子を用いてトランスジェニックマウスを作成し、体性幹細胞を含む種々の体細胞におけるOct-3/4再活性化の影響を検討する予定である。 研究分担者の山中は、マウスES細胞の未分化状態維持に必要な新規ホメオボックス遺伝子Nanogを同定し、報告した。この遺伝子の機能が失われるとマウスES細胞はすべて原始内胚葉へと分化してしまう事が明らかになったので、現在その分子機構について解析を進めている。
|