研究課題
特定領域研究「種形成の分子機構」総括班は本特定領域内の活性化を図る目的で平成17年2月3日に東京工業大学すずかけ台キャンパスにて第3回班会議を開催した。評価委員・計画研究代表者・分担者および各研究室に所属する大学院生、合計で約40名の参加があり、各班の代表者より以下のような研究報告があった。それぞれの発表の中で、活発な議論がなされた。A01代表者岡田典弘(東工大教授)では、本年度、日本人研究者としては初めてアフリカ・ビクトリア湖の現地調査を行った。また、シクリッドの生殖前隔離に関与していると思われる体表模様に関して、ゼブラフィッシュでの原因遺伝子の単離に成功したので、現在シクリッドでの遺伝子解析を進めている。A02代表者堀道雄(京大教授)らは、シクリッドの近縁種の共存機構の解析により、共存種の近縁度は低く色彩の類似は収斂であることを示した。計画研究A03代表者・小熊譲(筑波大教授)はアナナスショウジョウバエとパリドーサショウジョウバエの生殖前隔離には、300Hz付近のピークの相対的な大きさが、求愛歌の種特異性を決めているパラメータであることを明らかにした。A04代表者・石田直理雄(産総研グループ長)は交尾行動抑制に関る分子機構に間して卵形成遺伝子の関与を示した。A05代表者・長谷部光泰(基生研教授)らは、花粉特異的に発現するMADS-box遺伝子の3重遺伝子破壊体を作出したところ、花粉の湿潤耐性能力が顕著に劣っていることがわかり、種形成に重要な遺伝子であると示した。A06代表者荻原保成(京都府大教授)らは開花時期のずれに関与するCONSTANS (CO)のゲノム相同領域を解析を行った。A07代表者舘田英典(九州大教授)らは、自然淘汰や集団の地理的構造の役割を明らかにするために、ビクトリア湖シクリッドと東南アジア熱帯林のフタバガキ科樹木について集団遺伝学的解析を進めた。本年度の総括班では、当初予定していたシンポジウムの開催を変更して、シクリッド研究グループ(A01,A02,A07)のアフリカ調査の支援を行った。これは、ビクトリア湖の現地調査が、今後の研究の発展に重要な位置を占めるとの判断であり、これらの成果と合わせて、次年度のシンポジウムで本特定の研究成果を発表予定である。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
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