研究課題/領域番号 |
14201019
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研究機関 | 清泉女子大学 |
研究代表者 |
庄司 興吉 清泉女子大学, 文学部, 教授 (30061203)
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研究分担者 |
武川 正吾 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (40197281)
矢澤 修次郎 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (20055320)
古城 利明 中央大学, 法学部, 教授 (70055185)
奥村 隆 立教大学, 社会学部, 教授 (30211816)
丹辺 宣彦 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (90212125)
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キーワード | 「帝国」論 / グローバル化 / 新帝国 / 地球市民社会 / マルチチュード / 非政府組織 / 韓国の市民社会 / 中国社会変容の萌芽 |
研究概要 |
平成15年度研究実績報告書(基盤) 実施計画にもとづく理論的検討、データ整理、予備調査を行い、以下のような中間的成果を得た。 1)現代の地球社会をどうとらえるかについては、ハートとネグリによって提唱された「帝国」論を批判的に吟味し、新帝国による支配に抗して新たに形成されてきつつある地球市民社会をとらえるための、独自の理論の輪郭がほぼできあがってきた。新帝国は、市場化と情報化と電子化の重層過程としてのグローバル化のうえに生政治的に形成されてきている新たな世界支配体制であり、地球市民社会は、そこからたえず疎外されるマルチチュードがさまざまな形で市民化しようとしてきている諸過程の表れである。このような説を韓国での東アジア社会学者会議の場で発表し、いくつかの反響をえた。 2)この理論=仮説との関係で地球社会の現状についての基礎データの整理と分析をさらに進め、軍事化、民族紛争、国際資本、貧富の格差、地球環境、少子高齢化問題、人口爆発とリプロダクティヴ・ヘルス/ライツ問題、国際マスコミとインターネット、および国際組織IGOsや非政府組織NGOsなどをめぐる諸問題を、新帝国と市民社会の対抗関係のなかに位置づけるべく努力を重ねた。これらはやがて現代地球社会の多面的な現状分析に展開されるはずである。 3)予備調査としては、今年度は韓国、中国、アメリカに重点を置き、具体化してきた作業仮説との関連で、関係者への聴き取りと資料収集を行った。成果は現在分析中であるが、韓国については、情報化の急進展に伴って独自に個人主義的な市民社会の形成が急速に進み、社会の共同的基盤の弱化を憂える声も上げられていること、中国については、20世紀まで続いたこの国の旧帝国体制が今ようやく末端の地域社会(社区)レベルから変わりつつあること、などが中間的な成果として確認されている。
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