研究分担者 |
杉田 洋 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50192125)
深井 康成 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助手 (00311837)
安田 公美 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助手 (40284484)
松本 裕行 名古屋大学, 大学院・人間情報研究科, 教授 (00190538)
濱名 裕治 東京工業大学, 理学部, 助教授 (00243923)
|
研究概要 |
1.確率論と解析学,幾何学をつなぐ重要な等式として,伊藤の公式を経由して得られる2階線形偏微分方程式に附随する熱方程式の拡散過程によるウィナー積分表示がある.これまで確率解析の研究においては線形微分方程式へのこのようなウィナー積分の応用が主であり,非線形微分作用素への応用はあまり研究が行われていなかった.本研究において,昨年度既に浅水波を記述する方程式であるKdV方程式のn-ソリトン解が2次ウィナー汎関数を相関数とする確率振動積分として得られることを見いだしていた.本年度の研究において,さらにこの2次ウィナー汎関数に附随するヒルベルト・シュミット作用素の解析を行い,ウィナー汎関数の構造を詳しく解明した.特にこれによりn-ソリトン解の無限積表現を得た.また,n-ソリトン解のnを無限大にする極限操作を記述するためにブラウニアン・シートによる表示を提案し,これにより無反射ポテンシャルの収束に対する確率解析的理解を可能にした. 2.原点を出発する2次元ランダムウォークが時刻nまでにx軸の負半直線部分に戻らない確率についてnと共に増大する漸近挙動の増大の早さを明らかにし,さらに極限の主要項の係数をランダムウォークの増分の特性関数を用いて確定した. 3.ボン大学ストルム教授を招聘し,ディリクレ形式に基づく経路空間上の解析と熱核に関する研究成果について研究討論を行った.また,ノースウエスタン大学ピンスキー教授を招聘し,経路空間上の解析の幾何学,特にポテンシャル論的なリーマン多様体の構造解析への応用について研究討論を行った.さらに,京都大学を訪問していたノースウエスタン大学シュー教授から,確率幾何解析に関する知識の提供を受け,さらにリーマン多様体上のブラウン運動に関し研究討論を行った.
|