研究分担者 |
武田 文雄 富山工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (20042814)
岩井 正雄 富山工業高等専門学校, 環境材料工学科, 教授 (80042828)
丁子 哲治 富山工業高等専門学校, 環境材料工学科, 教授 (80092790)
早川 和一 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40115267)
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研究概要 |
【研究目的】 化石燃料燃焼により生成し,低濃度で肺癌等を引き起こす可能性が指摘されている多環芳香族炭化水素(PAH)と,PAHよりも更に毒性が高いニトロアレーン(ニトロ多環芳香族炭化水素)の大気中移動挙動は,その発生源における燃料の化学形態や燃焼形態によって異なる事が示唆されている。また,これらの物質の大気中における化学反応については十分解明されている状況にない。本研究では,(1)環日本海域である富山,金沢,ウラジオストクにおける大気中PAH及びニトロアレーン濃度の経時変化と,燃焼燃料の化学組成の違いとPAH及びニトロアレーンの濃度分布との関係を明らかにし,(2)大気中での化学反応の場を提供すると考えられる大気中エアロゾル主成分との反応性の推定,そして(3)PAHおよびニトロアレーンを無害化する可能性が見出された鉄酸化物及びその関連物質によるPAH及びニトロアレーン除去システム開発に必要な情報を蓄積することを目的とする。 【成果の概要】 (1)大気中PAHおよびニトロアレーン濃度と燃焼燃料の化学組成:環日本海地域である金沢,ロシア・ウラジオストックおよび中国遼寧省瀋陽市でのモニタリング結果により,ウラジオストックではディーゼルエンジン,中国では石炭燃焼起源の内分泌攪乱物質が大気中に放出されていることが見いだされた。 (2)石炭燃焼に伴って排出されるフッ素:石炭燃焼ではPAHやニトロアレーンに加えて,フッ素化合物が発生する。中国においては石炭燃焼起源のフッ素により,大気のみならずその周辺地域の地下水のフッ素濃度の上昇が報告されている。そこで,中国におけるフッ素問題,および大気中のフッ素を簡便にモニタリングする手法についても検討を行った。
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