研究課題
3年計画の初年度にあたる平成14年度の調査研究では、基本的に(1)『ロマンティシズム』の系譜、(2)東北の作家達と風土、(3)関西の作家達と風土、(4)岡本太朗と文化人類学、(5)柳宗悦と朝鮮、民藝、(7)沖縄、島の時空の6つの分野それぞれについて、基礎的な資料を収集することにつとめた。そのなかでは「ロマンティシズムの系譜」が、先の科学研究費補助金による研究「明治、大正期における『ロマンティシズム』の検証-青木繁から関根正二まで」を受けたかたちで調査研究がすすめられた。特に青木繁については、引き続き久留米の石橋美術館と共同で作業をすすめ、「神話的混沌」、「故郷あるいは晩帰」といったキーワードのなかに、青木と郷土である久留米の風土との関係をみいだしつつ、作品と文献資料の調査研究を行った。また「ロマンティシズムの系譜」、「関西の作家達と風土」で村上華岳をとりあげ、特に京都から神戸に戻って以降の動勢に焦点をあてて資料をあつめた。『畫室』、『藝美』などの当時神戸で発行された雑誌に掲載された関連文献のほかに、関係者への書簡類の収集にもつとめた。今後、これらの文献と作品をあわせて分析することで、京都、大阪だけでなく、故郷である神戸の風土がその根底で混在しているといわれる、村上華岳の芸術の本質を解明したいと考えている。これらの成果については、「青木繁と近代日本ロマンティシズム展」の展示、あるいはカタログのテキストとして一部分を発表したが、そのほか各分野について来年度以降も資料の収集をさらに続行するとともに、その分析につとめる予定である。
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