研究課題/領域番号 |
14310035
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美術史
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研究機関 | 独立行政法人東京国立近代美術館 |
研究代表者 |
尾崎 正明 東京国立近代美術館, 副館長 (00113423)
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研究分担者 |
鈴木 勝雄 東京国立近代美術館, 企画課, 主任研究官 (30321558)
大谷 省吾 東京国立近代美術館, 美術課, 研究員 (90270420)
増田 玲 東京国立近代美術館, 美術課, 主任研究官 (40260004)
保坂 健二朗 東京国立近代美術館, 企画課, 研究員 (40332142)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 美術史 / 多文化 / 中央 / 地方 / 風土 / 故郷 / 地域主義 / 民俗学 |
研究概要 |
ともすれば単線的になりやすい日本美術史の記述により重層的な視点を持ち込むことを目指し、本研究は、1900年代から1980年代を中心に、日本の美術において文化の多重構造という問題があらわれた局面を検証した。その際、本研究が注目したのが、日本国内で独自の文化を育んできた様々な「地域」の存在である。地域との関わりから、あるいは地域間の交渉の結果として生れた表現の内実を精査することで、日本の美術を複眼的に捉え直す指針を探った。 序論となる鈴木論文は、柳田国男が創始した「民俗学」を軸として、当該期間の美術において「地方」という主題に付与された意味の変遷を辿ることを試みた。大谷論文は、小川原脩と北脇昇という前衛画家が戦前にものした、美術における地方性を論じた文章を導きとして、前衛と地方性あるいは故郷との関係を考察した。増田論文は、写真家濱谷浩の『雪国』、『裏日本』という仕事を通して、ひとくちに地方を見つめるまなざしといっても、そこには、戦時から戦後への社会変動を背景に、「近代」「日本」をめぐる様々な思考が絡みあっていることを明らかにした。保坂論文は、日本の近現代建築における「建築の表象性」という問題を、地方性との関わりの中で批判的に検証しつつ、設計や施工のプロセスにおけるコミュニケーションを重視する建築家の仕事に、地域を捉える建築の可能性があることを提示した。最後に、尾崎は、関西を拠点として、その風土と密接に関わる仕事を残した画家村上華岳の手紙や切抜きなどが纏められた『華岳追憶』と題された1冊の資料を紹介し、今回初めて、そこから20通の書簡を活字化した。
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