研究課題
楽府についての本格的な研究は二十世紀に始まったといえるが、こうした研究成果を継承して更なる研究を進めるべく、今年度の本研究では、まず二十世紀楽府研究の歴史を総括した。楽府研究面における主だった著述を網羅して検討することによって、これまでの研究が、楽府詩の注釈、楽府詩の体系的な解釈、歴代の音楽に関わる官署の変遷の究明などにおいて、価値を有することが明らかになった。これをふまえて研究分担者はそれぞれ、六朝から唐にかけての楽府関係資料の収集、神仙思想・道教と楽府詩の研究、文人の手になる擬古楽府詩創作の実態解明、文学論における楽府の研究などの各テーマにおいて研究を進めている。かかる研究は次年度も継続して行なうことになっている。あわせて『宋書』楽志の本文校訂・訳注作成の作業を開始し、雅楽の歴史的展開に関する部分は、すでにこれを済ませた。本文の読みにくい箇所については、関係諸文献と校合して、あたうかぎりの解釈を試みた。この方面での唯一の類書『宋書楽志校注』を参照しながらも、さらに詳細な注釈を作成し、本文の校訂と訳文を附載してまとめてある。「宋書楽志訳注稿」と題して、学術雑誌『未名』第21号から順次掲載し、研究成果を学界一般に公開していく予定である。今後は、研究分担者が各自のテーマにしたがって研究を実施していくとともに、引き続き「宋書楽志訳注稿」作成に従事し、また既発表部分にもしかるべき加筆と訂正を施して、定本に近づける予定である。
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