研究課題
基盤研究(B)
六朝期の楽府制度と楽府詩を研究する際に、最も基本的なしかも最も重要な文献が『宋書』楽志一である。本研究ではこれについて、信頼できる定本、現代日本語訳そして詳細な注釈を作成した。歴代音楽制度の沿革、雅楽の性質とその歴史、俗楽の種類とその性質、楽器の種類と特質などの部分に分け、必要と思われるものについては、関係する図版を附して理解の一助とした。この中で、定評ある中華書局標点本の誤りを訂正し、従来の注釈書では解釈し得なかったところを明らかにすることができた。これと並行して、漢魏六朝から唐にかけての楽府関係資料の収集、神仙思想と楽府詩の研究、文人の手になる擬古楽府詩創作の解明、文学論における楽府の研究、唐代における六朝楽府詩の研究を行なった。その結果以下の諸点が明らかになった。使用される楽器の変遷からうかがえるように、東晋期において演奏形態と楽府詩への認識が大きく変わったこと、東晋における楽府断絶が宮廷音楽の復興と楽府文学の再興をむかえて、声律に対する意識を高め、それがのちの声律論の発生に大きく作用したこと、相和歌中の三調歌は従来考えられていたような三国魏の制作ではなく、後漢末以前に成立していたこと、楽府詩創作にかかわる「歌」「声」などは、必ずしも器楽曲をさすのではなく、歌曲の歌い方を意味する場合が多いこと、唐代の詩にみえる古楽府は北朝期よりも漢魏期のものが少なくないこと。今後は、個々の研究を公にするとともに、『隋書』音楽志など『宋書』楽志以降の文献資料を手がかりにして研究を行なうべきであろう。
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