研究分担者 |
小林 佳世子 南山大学, 経済学部, 専任講師 (00351073)
畠中 薫里 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (10265556)
森田 果 東北大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (40292817)
松井 智予 東北大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (70313062)
榊 素寛 神戸大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (80313055)
|
研究概要 |
研究の2年目にあたる平成15年度は,前年度に引き続いて,第1段階である基礎知識の涵養と法制度の実態把握と先行研究の整理を行うとともに,第2段階である,実定法学研究者・経済学研究者の双方のサーベイをつきあわせ,これまでの法制度や経済分析において分析が不十分であった問題点を洗い出す作業を進めた。具体的な研究の進め方としては,前年度同様,毎月1回定例の研究会を開催して法学者と経済学者が知識と意見とを交換することを中心に研究を進めた。適宜外部のゲストスピーカを依頼したり各自が外部の研究会・学会での報告を行ったりした点も同様である。 今年度の研究によって,重点を置くべき論点や実証の必要がある論点が明らかにされた。例えば,(1)倒産諸法が介入した後の企業業績のパフォーマンスと様々な要素との関係,(2)企業の倒産申立決定のタイミング(わが国の企業は倒産申立の意思決定が遅すぎるという評価が研究分担者の間で支配的である),(3)(2)について影響を及ぼす法制度(例えば商法266条の3や情報開示義務)のあり方,などが特に問題であるということを明らかにした。 以上の研究の進展に伴い,研究分担者による具体的な提言を伴う成果公表が増えてきている。森田「不実情報開示に基づく不法行為責任」は上述の(2)に関連して倒産時の情報開示義務の限界について検討を行い,小林「情報開示制度の効果」も経済学の観点から情報開示問題にアプローチした。森田「企業買収防衛策〜」は倒産等に伴う会社支配権の移転を効率的に行うためにはいかなる法制度が望ましいかについての検討を行った。畠中ほか「企業に対する制裁メカニズム〜」は(3)について,インセンティヴ設定ツールとしての刑事法と民事法に関する基礎理論の構築を図っている。榊「預金の帰属と倒産隔離」も(3)に関する各論的分析を行ったものである。
|