研究課題/領域番号 |
14320015
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉原 和志 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10143348)
|
研究分担者 |
田中 亘 成蹊大学, 法学部, 助教授 (00282533)
江口 匡太 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 助教授 (50302675)
畠中 薫里 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (10265556)
加賀見 一彰 明海大学, 経済学部, 助教授 (50316684)
榊 素寛 神戸大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (80313055)
|
キーワード | 民事再生法 / 経済分析 / 解雇 / 担保 / 会社法と倒産制度 / 任意法規化 |
研究概要 |
本年も、毎月1回定例の研究会を開催し、法学者と経済学者が知識と意見とを交換することを中心に研究を進めた。研究が深化するにつれ、ゲストスピーカーに求める知見、あるいは各自が外部の研究会・学会で行った報告の内容は、それぞれより絞り込まれたものとなってきた。平成16年度は,研究も三年目に入ったことから、法制度の実態把握・従来の議論の参照に際しても、研究のアプローチ手法、あるいは対象とする問題点の範囲の画し方等について、追加的に考慮すべき点が直ちに指摘されるようになってきた。また、研究の進展に伴い,研究分担者の研究成果は、具体性・提言性を増している。 本研究が両分野の研究者にもたらした影響は、これら具体的課題に取り組んだ本年度の公表業績(田中「担保権消滅請求制度〜」は担保、江口"Trainers' Dilemma"ほかは解雇、松井「会社法による〜」は、会社法の債権者保護制度と否認権との整合的解釈)に明らかである。未公表報告中にも、前年度より深化し、細分化された問題意識が増えた。前年度表れた知見のうち、たとえば(1)企業の倒産申立決定のタイミングについては、倒産法制の改正・導入によって、統計上有意の早期化が見られるとの報告に際しては(2)従来の法制(商法266条の3や情報開示義務)がもともと持っていた効果の測定手法が再考され、また、(3)会社更生法の任意化に関するアメリカの議論が紹介されれば、(4)強行法規としての倒産法の会社規模別複層化、および一部の任意法規化という二つの立法可能性が個別に検討された。実定法学研究者・経済学研究者の双方のサーベイのつきあわせは、今まで取り上げられなかった問題点を明らかするだけでなく、それら問題点に対して、どの程度具体的な場面を想定し、かつどのような手法を用いて分析することが法学・経済学双方の分野での分析にとってもっとも有益かについて、互いに再考する機会を与えてくれるようになってきたといえよう。
|