研究課題/領域番号 |
14340002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 毅 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70201506)
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研究分担者 |
辻 雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (40252530)
寺杣 友秀 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (50192654)
加藤 和也 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90111450)
志甫 淳 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (30292204)
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キーワード | 1進コホモロジー / 分岐 / Lefschetz跡公式 / 導手 / Hasse-Arfの定理 / Grothendieck-Ogg-Shafarevichの公式 |
研究概要 |
今年度の最大の成果は、代数閉体上の任意次元の多様体に対する、1進層のEuler数の公式の証明である。これは研究分担者の加藤氏との共同研究である。 代数曲線上の1進層のEuler数について、それを境界での分岐のSwan導手で表すというGrothendieck-0gg-Shafarevichの公式が,1960年代に示されていた。しかし、その後しばらく、この公式の高次元化の研究は停滞し,Laumonによる部分的な結果などが得られただけだった。80年代末、Bloch氏は、高次元における分岐の不変量は、0輪体類として定義されるべきことを示唆し,加藤氏は階数1の場合にEuler数の公式を2次元の場合に証明した。 この問題を、今年度の研究で次のように解決した。まず分岐の不変量をlog対角写像による引き戻しとAlterationを使って定義した。さらに、開多様体に対するLefschetz跡公式を示すことにより、1進層に対するEuler数の公式を証明した。この公式は、Grothendieck-Ogg-Shafarevichの公式の高次元化であり、また2次元,階数1の場合の加藤の公式の一般化ともなっている。この結果については、加藤氏と共著の論文を現在執筆中であり、ほぼ完成に近づいている。論文の中では、Serreの本"Corps Locaux"にあるような、Swan指標、Swan導手の理論の高次元化を展開した。また代数曲面については、Hasse-Arfの定理の高次元化の証明も与えた。 上で述べた開多様体に対するLefschetz跡公式の応用として、Deligneの予想の部分的な別証も得られた。これは、一般に藤原氏によりrigid幾何を用いて証明されているが、多様体と層がともにsmoothとの仮定のもとで、純代数幾何的な証明を得ることができた。またこの新証明は、クリスタルを係数とするp進コホモロジーについても有効な証明である。 以上は閉体上の多様体に関する結果であるが、局所体上でも、同様の理論が成立し、1進コホモロジーの導手の交代和の公式が得られると考えている。まだすべてではないが、これの証明のかなりの段階を確認することができた。 このほか、剰余体が一般の局所体の分岐群の研究を続け、分岐群のフィルトレイションが分離であることの簡単な証明をえた。
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