研究概要 |
平成15年度の成果は以下の通り。 1.低エネルギー電子衝撃による固体Ne表面からの励起原子の脱離角度分布測定のために必要な新しい電子銃を設計・製作し,動作確認を行った。その電子銃を用いて脱離角度分布を測定し,固体Ne表面の結晶構造により角度分布が変化することを見いだした。 2.多価イオン入射による固体Neからの絶対脱離収率の測定を行った。入射エネルギー0.5〜2keV,価数を+2〜+5の範囲で測定し,高価数イオン入射において1入射イオン当たり100原子以上という,非常に大きな脱離収率が観測された。 3.固体Ne表面を標的とした反射イオンの測定を行った。反射イオンの価数分布測定により,固体表面に与えられた電荷量を特定することが可能となった。 今年度の実績をふまえ,平成16年度には,多価イオン入射による希ガス固体からの絶対脱離収率の系統的測定および反射イオンと脱離イオンの同時計測実験を行う。これらの結果により,希ガス固体の物性(バンドギャップ,凝集エネルギーなど)と入射イオンの内部エネルギーの相関についての情報を得,多価イオンの持つ巨大な静電エネルギーが希ガス固体中でどのように消費されるのかを定量的に明らかにする。
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