研究分担者 |
田中 滋康 静岡大学, 理学部, 教授 (90146233)
田吹 亮一 琉球大学, 教育学部, 教授 (60155231)
神谷 隆宏 金沢大学, 理学部, 教授 (80194976)
生形 貴男 静岡大学, 理学部, 助教授 (00293598)
鈴木 雄太郎 静岡大学, 理学部, 助手 (50345807)
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研究概要 |
最終年度である今年度は,日本動物分類学会第41回大会(6月/徳島大学),日本古生物学会2005年年会(7月/東京大学),第15回オストラコーダ国際シンポジウム(9月/ベルリン自由大学),日本動物学会北海道支部例会(12月/北海道大学),日本古生物学会第155回例会(2月/京都大学)において本研究の成果を発表した. また駿河湾〜相模湾沿岸において,主に間隙性貝形虫類の採集を行い,大磯海岸(神奈川県)では,「生きている化石」ともいうべきTerrestricythere属の未記載種を発見した.これは,本属(1上科1科1属)の分類群では世界で5種目となる希少種である.間隙性というハビタットに適応する遺存的分類群として,その形態的・生態的特性について注目し、今後新しい研究を展開させる予定である. 本研究開始以来,研究素材のメインとなっているKeijcyoidea sp.(Platycopida)について,背甲の開殻機構に関する新たな知見を得た.派生的分類群であるPodocopidaの種は,背甲の開殻を大顎頂部の突起を用いることが一般的に知られている.Keijcyoidea sp.を含む遺存的分類群であるPlatycopidaでは,大顎頂部が発達しないことに着目して開殻機構を調べたところ,本分類群では第二触角の基部を用いることが明らかにされた.また,この開殻機構は,化石として保存される背甲内表面に残る痕跡としても認められ,遅くとも白亜紀にはこの開殻様式によって生活していたことが示された.さらにこの開殻機構を司る付属肢の筋系にも着目した結果,Platycopidaは閉殻筋痕との位置関係から,大顎に強い筋系を発達させることができないことを明らかにし,懸濁食である食性からも,大顎の役割がPodocopidaとは根本的に異なることについて理解を深めた.
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