研究概要 |
本研究では,自らを制御する能力を失いタンブリング運動する故障もしくは運用終了した人工衛星を,ロボットアームによって安全に捕獲するための宇宙ロボットの制御技術を明らかにし,具体的なミッションを行いうる次世代実用型ロボット衛星の概念設計,基本設計をおこなうための指針を得ることを目的とし,理論展開および実験による研究をすすめてきている. 平成16年度においては,これまでに開発してきた理論的なモデルの検証を行うため,3次元の宇宙ロボットテストベッドを用いた衛星捕獲の模擬実験を実施する環境の構築を行った.ロボットテストベッドの開発のため,市販の汎用7軸ロボットアームであるPA-10を購入し,宇宙空間に浮遊している衛星に搭載されているアームの運動を模擬する実験システムを構築した. 7軸ロボットアームの運動は,アーム先端に作用する力情報に基づくインピーダンス制御および,ロボットベースの反動による運動を重畳した動作として実現される.安定したインピーダンス制御を実現する方法として,力センサからの情報に2次フィルタを用いる方法を開発し,これにより適切なダイナミクスモデルの模擬ができることを確認した.タンブリング運動する人工衛星をターゲットとして捕獲ミッションを行う際,ロボットアームの制御インピーダンスパラメータの違いによって,接触後のターゲットの運動およびターゲットの捕獲性能が変化することをこれまでに理論的に明らかにしているが,これを実験的に検証することが次年度(最終年度)の課題である.
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