研究分担者 |
武若 耕司 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (10155054)
濱田 秀則 独立行政法人港湾空港技術研究所, 材料研究室, 室長(研究職)
佐川 康貴 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (10325508)
近田 孝夫 新日鐵高炉セメント(株), 技術開発センター, センター長(研究職)
添田 政司 福岡大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (50148871)
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研究概要 |
コンクリート中における鋼材の発錆は,浸透した塩化物イオンの濃度が限界レペル(鋼材腐食発生限界濃度)を超えた場合,あるいは塩化物イオンは低くてもコンクリートの中性化によりpHが低下した場合に起こるとされている。高炉スラグ微粉末はコンクリートの耐久性を向上させるのに有効な混和材料であることが知られているが,プレストレストコンクリートなどに用いられる高強度領域のコンクリートについての中性化,塩分浸透およびそれらに伴う鉄筋発錆条件については,データの蓄積が不十分である。 本年度は,昨年度に引き続き,促進中性化試験,塩水乾湿繰返し試験,塩水浸漬試験を継続して行い,高炉スラグ微粉末を混和したコンクリート,特にプレストレストコンクリートなどに用いられる高強度領域のコンクリートについて,中性化および塩分浸透について,長期的なデータの収集を行った。その結果は,以下の通りである。 1.実環境では降雨などの影響によりコンクリートは乾燥状態と湿潤状態が繰り返され,含水状態が変化することから,その影響を明らかにするため,促進中性化試験と水中浸潰を繰り返す試験を実施した.その結果,水中浸漬を行わない場合,高炉スラグ微粉末混和コンクリートは,無混和のコンクリートと比較して中性化速度が大きくなるが,水中浸漬と促進中性化を繰り返した場合には,スラグ混入による差は小さくなることが明らかとなった。 2.コンクリート表面からの塩化物イオン濃度分布を定量的かつ詳細に求める手法として,EPMA(電子線マイクロアナライザー)による分析方法について提案した。この方法を用いて塩水乾湿繰返し試験について検討した結果,高炉スラグ微粉末混和コンクリートの塩化物イオン濃度は,表層よりも数mm内部の方が高くなること,内部への浸透はスラグ無混和コンクリートよりも抑制されることなどを明らかにした。
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