1)移築事例の捜索 国宝・重要文化財の中で、移築されたものを網羅的に拾い、その特徴を分類した。 約3500棟余りの文化財のうち、300弱程度が移築されたもので、かなり高い率であることが判明した。これらの類型的な把握については、次年度の調査とする。 2)移築事例調査 初年度であるので、研究担当者、研究協力者ともに、興味のある例をさがして、自由に広くその調査を行った。 ・室町幕府将軍邸の建築がかなり移築建築であることを調査した。 ・醍醐寺三宝院の建築について、その移築元の建築の調査を行った。 ・伊勢神宮の江戸時代の式年造替に際し、旧社殿が遷宮の後も長く維持されることを確認した。 ・鳥取池田藩、山口毛利藩関係その他の資料調査を行い、江戸時代末の江戸藩邸の建築の移築を調査した。 ・法隆寺の境内における、江戸時代の子院の移動と、それに伴う移築を調査した。 ・近代初期、東京における、住宅売買(解体移築を前提とした)の実態の調査を行った。 ・新宮市の熊野川河原に敷設されていた仮設住宅群の調査を行った。 ・都内において、ジャッキアップの見学を行った。
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