研究概要 |
千葉県柏市、我孫子市、沼南町にまたがる手賀沼において富栄養化した河川、湖沼水を極低濃度の培養液として捉え、その水で野菜を生産し、同時に湖沼水の浄化を計るシステムに関する一連の研究を開始した。手賀沼湖上にイカダ等の設備を設置する方法は河川法上も問題であり、小規模の野菜栽培では浄化量も限定されることから、本研究では手賀沼周辺の休耕田に注目した。実際には、休耕中の周辺水田に富栄養化した湖沼水を導入し,野菜を栽培するシステムを開発するものである. 本年度は、実用規模での圃場栽培を前提として、これまでに構築した湖岸型の栽培システムをベースにして,新たな栽培システムを開発した。この栽培システムでは,レールシステムを導入して収穫の効率化を図ると同時に,富栄養化水が,個々の植物体に充分供給されるように給液システムの最適化を図った. また、収穫機は,これまでの試験で実用化した刈り取り機を大幅に改良し、収穫物が大きくなっても刈り取り可能なものを新たに設計・試作した。実用システムは,簡易なだけでなく,低コストで大面積の栽培が可能なものとするが,施設内に設置したシステムと、屋外の露地に設置したシステムを設け次年度以降の生産性等の比較に備えた。 また、生鮮野菜としての安全性について検討するため、実際に富栄養化水で栽培したエンサイの重金属分析を行ったところ、重金属濃度については問題なく、特に重金属除去などの処理を行う必要がないことが判明した。
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