研究分担者 |
実吉 峯郎 帝京科学大学, 理工学部, 教授 (20002339)
永沼 孝子 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助手 (50250733)
小川 智久 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (80240901)
横山 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70261956)
|
研究概要 |
これまで淡水産及び淡水・海水を行き来する魚種からラムノースに結合特異性レクチンを研究対象にしてきたが,本年度は,海水魚であるスズキ目サワラの卵巣からレクチン(SML)き単離して,生化学的生化学的性状を明らかにした。その結果,本レクチンファミリーが海水魚にも分布していることが確認できた。SMLは,本レクチンファミリーでは初めての糖タンパク質であり,201アミノ酸残基からなるサブユニットが二量体を形成していた。1次構造には2回の繰り返し配列が存在し,N末端から168位のAsnにN型糖鎖が結合していた。分子内の8つのSS結合位置の同定を各種ペプチドマップを作製して完成した。これらの知見を基礎にしてラムノース結合特異性レクチンの機能発現のための構造要素を考察した。 ニジマス免疫細胞由来のRTG2培養細胞に各種レクチンを投与し,インターロイキンやインターフェロンなどのサイトカインの産生誘導をRT-PCRで調べた。また,調製した各動物レクチンファミリーの魚病細菌を含むグラム陰性菌と陽性菌に対する結合活性を蛍光偏光解消装置と酵素免疫測定法(ELISA)法を使い調べた。さらに各種の魚種に寄生する微胞子虫に対する各レクチン・ファミリーの結合活性を蛍光標識法とELISA法を用いてスクリーニングした。これらの結果を総合すると,各レクチンは糖鎖認識機能の違いによって微生物と特異的に相互作用することが分かった。レクチンによる寄生原虫の感染制御を微胞子虫をあらかじめレクチンで処理し,ニジマスに対する感染制御効果を検討した。レクチン添加による胞子の凝集が光学顕微鏡により観察され、蛍光顕微鏡による観察においては、胞子全体で蛍光が見られた。蛍光強度から胞子に結合したレクチン量を求めた。胞子2.49×10^5個に対し,レクチンは濃度依存的に結合し、10μM付近で結合の飽和がみられた。
|