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2003 年度 実績報告書

施設内アメーバ感染の生物学的、疫学的、臨床的研究

研究課題

研究課題/領域番号 14370085
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

竹内 勤  慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051847)

研究分担者 小林 正規  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70112688)
浅井 隆志  慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (50175163)
田辺 将信  慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80051928)
キーワード赤痢アメーバ / 施設内感染 / 病原性 / Entasmoeba dispar
研究概要

諸種の施設における赤痢アメーバ感染に関して、疫学/臨床的研究を行い、合わせて感染者からの分離株について生物学的な性状を検討した。今年度は幾つかの地方自治体と共同して検索を行ったが、まず東京都の施設では糞便中の抗原定量検査によって陽性者は見い出されなかった。しかし同様な感染経路をとる大腸アメーバやランブル鞭毛虫の感染が、4 ̄7%程度に見られた。この事は赤痢アメーバの感染者が入所してくれば、その感染が拡大する可能性が有る事を示している。一方従来から検索してる施設では、予想した以上に無症候性の持続感染が多く、そのような感染者からアメーバ株を分離してその性状を検討した結果、分離株の中に抗原的にも、遺伝子解析でも病原性の赤痢アメーバであるのに、非病原性のアメーバ用に開発されたYIGADHA-S mediumに適合する株が見い出された。通常の赤痢アメーバはこの培地では生育せず、急速に死滅する。また、このYIGADHA-S mediumで生育するEntamoeba disparの複数の株を確立出来た。すなわちE.disparの無菌培養系が完成した。一方従来から地方自治体と共同で調査しているある施設においては従来奏効した化学療法が完全な効果を示さず、同一の感染者から繰り返し再感染が周囲に拡がっている所見が得られた。このためメトロニダゾールとディロキサニドの併用を試みた結果、感染を完全に抑圧する事ができた。この事は、今後の対応に有意な示唆を与えるものと思われた。また東海大学との共同研究によって、アメーバの150kDa表面レクチンの色々な部分の抗原性を調べた結果、C末端側の断片が無症候性の感染者でも90%以上の高い陽性率を示す事が明らかになり、今後組み替え蛋白として多量に産生することにより、臨床症状を呈していない場合が多い施設内アメーバ感染の病態の特定化に応用できるものと思われた。更に国立感染症研究所の協力を得て、特定の遺伝子の塩基配列の多様性から、感染経路の特性を調べているが、これまでの調査対象の中でもっともアメーバ抗体陽性率、及び糞便中のadhesinを標的とした抗原定量キットで陽性率が高かった施設(YG)の分離株中に1994年わが国で最初に起こった施設内アメーバ感染のアウトブレイクから見い出された株と全く同じ遺伝子の塩基配列を有しているものが見い出された。この事は現在わが国で拡大している施設内アメーバ感染の原因になっているのが、少なくとも一部は最初のアウトブレイクに由来している事を示している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Kobayashi S et al.: "Axenic cultivation of Entamoeba dispar in newly developed YIGADHA-S medium"J Parasitol. In press.

  • [文献書誌] Haghighi A, Taakeuchi T, et al.: "Geographic diversity among genotypes of Entamoeba histolytica field isolates"J Clin Microbil. 41-8. 3748-3756 (2003)

  • [文献書誌] Tokoro M, Asai T, Kobayashi S, et al.: "Identification and characterization of two isoenzymes of meethionine gamma Lyase from Entamoeba histolytica"J Biol Chem. 278-43. 42717-42727 (2003)

  • [文献書誌] Kumagai M, Taakeuchi T, et al.: "Molecular cloning and characterization of a protein farnesyltransferase from the enteric pprotozoan parasite Entamoeba histolytica"J Biol Chem. 279-3. 2316-2323 (2004)

  • [文献書誌] 竹内 勤, 小林正規, ほか: "寄生虫の院内(施設内)感染対策"厚生労働省医薬局安全対策課;メジカルフレンド社. 184 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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