研究概要 |
ヒトの苦味受容体であるT2Rファミリーの遺伝子を解析し、多様なcoding single-nucleotide polymorphysms(cSNPs)が存在することを明らかにした。例えばhT2R4は4カ所のアミノ酸残基において変異(F7S, T74M, V96F, S171N)があることが分かった。味覚受容体遺伝子のこの様なDNAレベルでの個人差が、生理学的に知られているヒトでの味覚の個人差と、どの様な相関関係にあるのかは、興味深いところであるが、実際にT2R遺伝子の機能を解析するには困難な点が多く、約40種類有るT2R遺伝子ファミリーの中でもリガンドが同定されているものはわずかなクローンにしかすぎない。そこで、我々はT2R味覚受容体の機能をより詳しく解析するために、T2Rがどの様な種類のG蛋白と共役可能か、またG蛋白のどの部位がT2R受容体と結合するのに必要かを、キメラG蛋白を作成し解析した。gustducinとGα16によるキメラG蛋白を作成し、mT2R5やhT2R16苦味受容体と共役させることによりカルシウムイメージングにより機能解析を行ったところ、T2R苦味受容体との共役にはgustducinのβ6sheets、α5helix、extreme C terminusが必須で有ることを明らかにした。また、未来に発現しているG蛋白の中でも、gustducin、Gαi2とcone-transducin(Gαt2)がT2Rと共役できることが分かった。
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