研究課題/領域番号 |
14370749
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
今川 正良 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20136823)
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研究分担者 |
塚本 喜久雄 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (20183478)
田口 良 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (20080210)
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キーワード | 肥満 / 脂肪細胞 / 糖尿病 / 細胞分化 / 生活習慣病 / 転写因子 |
研究概要 |
肥満に直結する脂肪細胞分化の重要な制御因子として、PPARγ(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor γ)やC/EBP(CCAAT/Enhancer-Binding Protein)ファミリーが同定された。しかし、これらが発現するのは、脂肪細胞分化の中期であり、脂肪細胞分化の最も初期における変化は未だ不明な点が多い。本研究では、脂肪細胞の分化の特に初期に的を絞り、その分子機構を明らかにすることを目的とした。すでに脂肪細胞分化初期に発現が増加する因子として、Rhoファミリーの一つであるTCLおよびG proteinシグナルに関わるRGSファミリーの一つであるRGS2を同定した。そこで脂肪細胞分化初期におけるTCLおよびRGS2の機能解明とともに、さらに新たな因子の同定もめざした。 1)TCLまたはRGS2強制発現細胞を用いた解析により、TCLおよびRGS2は共に、脂肪細胞分化に重要な役割を果たしていることを明らかとした。特に、PPARγに至る経路に深く関わっていることを明らかとした。 2)TCLまたはRGS2の標的遺伝子を検討するため、サブトラクション法やDNAチップ法をおよび二次元電気泳動法を用いて、これらの因子により発現が増加または減少する遺伝子群を多数単離した。これらの一部の遺伝子は、脂肪細胞分化においてもTCLやRGS2の発現と良く相関し、脂肪細胞分化初期に関連する可能性が示唆された。 3)PPARγ発現細胞を用いたサブトラクション法により、PPARγの新たな標的遺伝子を単離した。 4)脂肪細胞分化初期に発現が増加する因子を新たに探索したところ、多くの新規遺伝子群を単離した。特に、Bach1およびARA70は転写因子やコファクターと考えられ、脂肪細胞分化との関連性が強く示唆された。 以上のように、TCLおよびRGS2が共に、脂肪細胞分化初期に重要な役割を果たしていることを明らかにするとともに、それらの標的遺伝子群の候補を多数同定した。さらに、新たに脂肪細胞分化初期に発現が変動する遺伝子群を単離した。今後これらの機能解析を行うことにより、新たな糖尿病治療の開発を目指したい。
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