研究概要 |
RFIDタグ技術は,来るべきユビキタス・コンピューティング時代へ向けての最先端の動きという視点から,マスコミでも最近頻繁に紹介されるようになった.また,関連した出版物も増加している.RFIDタグに関する最新動向調査のため参加した第4回自動認識総合展(平成14年9月開催)や第4回図書館総合展(同年11月開催)においてもこれから重要な基盤技術として取り上げられており,今後一層の普及と,それに伴う標準化,性能恒常,価格低下が期待される.われわれ自身の実験・経験として,九州大学附属図番館筑紫分館にRFIDタグシステムを導入した.これは,チェックポイント社・三菱マテリアル社との共同研究として進めているプロジェクトであり,現在約5000冊の蔵書に13.56MHz帯のタグが貼付されている.実験の結果,(1)2つあるゲートの中央付近の検出感度が十分でない,(2)蔵書(タグ)の向きにより,感度が著しく低下し,貸出処理のされていない蔵書の検出ができないことがある,(3)パソコンなどの金属物と重ねてバッグ等に収納した場合も感度が大幅に低下する,(4)貸出済みの処理を行うR/Wの感度が高すぎるため,未処理のものが処理済み扱いになる危険性がある,(5)利用者が自ら貸出・返却処理を行う,自動貸出機のインターフェースの改良が必要である,(6)貼付後発見されたタグ不良に対する対策をどうするか予め考慮しておく必要があること,などの問題が明らかになった.今後,さらに調査・研究を行い,これらの問題を解決していく. また,金剛(株)と共同で,書架に直接R/Wを取り付け,配架された状態のまま,蔵書検出を行う,「インテリジェント書架」の研究を進めている.これが実現されると,ほぼリアルタイムで蔵書の配架状況を把握することができるため,蔵書管理の大幅な省力化,館内における蔵書の利用状況情報の収集などが可能となり,RFID図書館ならではのサービスの提供ができるようになる. その他,九州地区の本学図書館協議会,鹿児島県大学図書館協議会,琉球大学などで講演を行い,広報活動にも努めた.
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