研究課題/領域番号 |
14380342
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研究機関 | 国立循環器病センター研究所 |
研究代表者 |
望月 直樹 国立循環器病センター研究所, 循環器形態部, 部長 (30311426)
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研究分担者 |
増田 道隆 国立循環器病センター研究所, 循環器形態部, 室長 (00190364)
尾西 裕文 国立循環器病センター研究所, 循環器形態部, 室長 (80092542)
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キーワード | 情報伝達系 / チロシンキナーゼ / 受容体 / 細胞間接着 / 血管新生 |
研究概要 |
研究目的:血管新生・血管の発生には血管内空を被う一層の血管内皮細胞間の接着が重要である。特に細胞間接着は血管の透過性・炎症細胞浸潤を決定する重要な構造となっている。タイトジャンクション・アドヘレンスジャンクション・デスモゾームなどの解剖学的な構造物があるが、それだけではなく細胞表面にさまざまな接着分子を発現することで、細胞同士の結合を制御している。さらに、この細胞接着により、細胞内情報伝達系も活性化されることが次第に明らかになってきている。本研究ではEph受容体-ephrinリガンド系による細胞内情報伝達系の制御を(1)細胞運動の制御機構(2)アクチンーミオシン系の調節(3)細胞間接着分子とのクロストークについて調べることを計画した。 15年度成果:血管内皮細胞はEphA4受容体を発現している。内皮細胞は血管平滑筋細胞と接着している。この血管平滑筋は収縮もしくは弛緩により血圧制御の重要な機能を担っている。平滑筋細胞にもEphA4が発現しており、このEpbA4に結合する分子として、Vascular Smooth Muscle-specific RhoGEF (Vsm-RhoGEF)分子を同定し、その機能について詳細に調べた。 (1)Vsm-RhoGEFは血管平滑筋特異的に発現するRhoのグアニンヌクレオチド交換因子である。 (2)Vsm-RboGEFはRhoを活生化することにより、アクチンストレスファイバーの束化を促進する。 (3)Vsm-RhoGEFはCdc42,Racのグアニンヌクレオチドの交換を行わない。 (4)Vsm-RhoGEFのDblホモロジードメインとPH(プレクストリン)ホモロジードメインがEphA4チロシンキナーゼ受容体との結合に重要である。 以上の結果から、EphA4受容体を活性化するリガンドであるEphrin-Aファミリー分子を発現する細胞との直接接着によりEphA4-VsmRhoGEF-Rhoが活性化され、血管平滑筋の収縮がおきるという新たなシグナル系を明らかにした。
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