研究概要 |
Eph受容体Ephはephrinをリガンドとして、このリガンド-受容体の結合がそれぞれの下流の情報伝達系を活性化することで細胞の反発現象や誘引現象を起こすと考えれられている。本研究では血管平滑筋細胞のEphA4受容体下流で機能するVsm-RhoGEF(vascular smooth muscle cell specific RhoGEF)を同定して、その機能を検討した。 Vsm-RhoGEFは血管平滑筋特異的にに発現しており、EphA4も血管平滑筋を含む筋細胞で発現していた。(2)Vsm-RhoGEFはRhoファミリーGTPaseのなかでRhoを活性化することで血管平滑筋の収縮を調整していた。さらに細胞内での局在を検討したところ、(3)Vsm-RhoGEFはアクチンストレスファイバー上に存在してた。さらに、(4)Ephrin-A1刺激によりRho活性化シグナルから、Rac活性化シグナルが主となり、細胞膜のラッフリングを誘導し、細胞伸展を起こすことがわかった。 Eph受容体刺激で、低分子量G蛋白質のR-Rasファミリー分子も活性化されることが予想された。Ephによりアクチンミオシンの再編成が起こることが予想され、またMyosinファミリー分子の中でRas bindingモチーフをもつMyosinIXに着目してR-Rasファミリー分子との結合について調べた。ミオシンIXにはRas association(RA) domainがあるが、どのRasファミリー分子と結合するかは明らかにされていなかった。R-Rasファミリー分子(TC21,R-Ras,M-Ras)の中で、TC21,R-RasがミオシンIXのRAドメインに特異的に結合することを明らかにした。この結合はGTP結合型R-Rasでのみ,認めることから、R-Rasの活性化にしたがってミオシンIXが制御される可能性を示す結果となった。 さらに、EphA4受容体の刺激依存性のエンドサイトーシスを検討した。ephrinリガンド刺激依存性に、細胞内へ取り込まれるか否かは検討されていなかった。本研究で可溶性ephrinをEph-EGFPキメラ蛋白を発現する血管内皮細胞に投与したところ、エンドサイトーシスが惹起されることを証明した。細胞間シグナルでも、同様にエンドサイトーシスが誘導されることが予想された。
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