研究課題/領域番号 |
14401026
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研究機関 | 名古屋商科大学 |
研究代表者 |
松尾 信之 名古屋商科大学, 総合経営学部, 助教授 (40308838)
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研究分担者 |
嶋尾 稔 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 講師 (90255589)
八尾 隆生 広島大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50212270)
桃木 至朗 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40182183)
高田 洋子 敬愛大学, 国際学部, 教授 (50154795)
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キーワード | 国際研究者協力 / ベトナム / 近世 / 近代 / 歴史 |
研究概要 |
1.目的 従来ほとんど研究されていない、ベトナムにおける村落を越えたネットワークを、近世・近代に関して明らかにすることが、目的である。対象地域は紅河デルタ南部ナムディン省ブバン県バックコックむらを中心とする諸村落とする。1つにはバックコックむらとむら外との関係、2つにはバックコックむら周囲のむらむらが相互にどのようなネットワークを形成していたのか、明らかにする。 2.現地調査(いずれも8月に、それぞれ約2週間行った。) (第1班)松尾、嶋尾は、バクニン省、ハタイ省、ナムディン省において、現地調査を行った。バクニン省、ハタイ省を調査した理由は、2省の各1村落に関して、バックコックむらと関係があったとの情報が、バックコックむらにおいて得られていたためである。ナムディン省においては、作業従事者の学生、ベトナム人、計5名も参加し、バックコックむら周辺の、昨年度の対象村落群と隣接する村落群で、昨年度と同様の目的、方法で調査した。具体的内容は古老へのインタビューと、村方史料の収集である。 (第2班)桃木、八尾は作業従事者のベトナム人1名を合わせ、タインホア省とナムディン省において、現地調査を行った。タインホア省に関しても、バックコックむらとの関係があったとの情報が、バックコックむらにおいて得られていた。ナムディン省においては、第1班の調査内容を継続した。 (第3班)高田は北部(ナムディン省、クアンニン省)、ベトナム南部において、それぞれ作業従事者のベトナム人1名(計2名)を合わせ、現地調査を行った。昨年度に独自に公文書館を調査し、植民地期にナムディン省内の労働力移出元の村落や、クアンニン省やベトナム南部における、バックコックむらからの労働力移出先をリストアップしており、それらの地域を調査した。 3.シンポジウム 8月にナムディン、ハノイにおいてシンポジウム「ベトナム農村研究の10年」を開催した(計3日間)。報告者は本課題参加者や、ベトナム側では、最も実績のある農村研究者たちであった。相互の研究状況を報告し合い、また意見交換により、本課題にとって非常に有益であった。 4.成果 これまでのバックコックむらの調査によって、関係が存在したことが分かった地域につき、そちらの側からの裏付け資料を得ることが、本年度の大きな目標であったが、それらはほとんど成功しなかった。しかしながらバックコックむら周辺地域における調査においては、昨年度同様に様々な形態(家譜、冊封、神勅など)の地方文書を大量に収集し得た。資料収集の継続と、それらの整理、データベース化、活用、分析が来年度の作業となる。
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