研究課題/領域番号 |
14402045
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河田 惠昭 京都大学, 防災研究所, 教授 (10027295)
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研究分担者 |
佐藤 寛 アジア経済研究所, 海外研究員
柄谷 友香 人と防災未来センター, 専任研究員 (80335223)
林 春男 京都大学, 防災研究所, 教授 (20164949)
渡辺 正幸 国際協力事業団, 国際協力総合研究所, 国際協力専門員
角田 宇子 亜細亜大学, 国際関係学部, 助教授 (20296396)
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キーワード | 防災 / 減災 / 国際協力事業団(JICA) / 生活再建 / 技術援助 / 河川改修 / 再定住地化 / コミュニティ |
研究概要 |
近年フィリピンで発生した災害からの復旧過程に関する調査を実施し、防災戦略・戦術に向けて解決すべき課題を抽出した。対象とした災害は、オルモック市洪水災害(1991年)とピナツボ火山噴火災害(1991年)であり、調査期間は2003年1月21日から26日であった。調査に際して、JICAフィリピン事務所に調査協力を依頼し、対象地域での現地踏査および利害関係者(市長、バランガイ長、住民等)へのヒアリング調査を実施した。 台風ウリンの発生により、レイテ島オルモック市では、死者8,000人を超える被害が生じた。これに対して、1993年からJICAの無償資金協力事業「オルモック市洪水対策事業計画」が実施されている。この対策では、現地調達材料を用いた河川流域の洪水緩和・都市排水のマスタープランの策定、優先すべき計画のフィージビリティ調査を行ってきた。オルモック市の防災計画担当者によると、これまでフィリピンでは河川改修という概念自体全くなかったが、今回の日本の技術援助はオルモック市民に受け入れられてきた。しかし、それに伴う河川改修は、市街地を流れる2河川を対象とした両岸拡幅を伴うため、約500戸の住民移転が最大の課題として残されていることがわかった。 ルソン島中部のピナツポ火山が噴火し、山麓の地元住民であるアエタ族は再定住地への移動を余儀なくされた。このようなアエタ族の生活再建のために、ボトラン市でワークショップが開催された。そこでは、再定住地での泥流制御計画等のハード施策や警報・避難システム等のソフト施策まで説明した上で、再定住に際しての問題点やその解決法について議論された。その結果、阪神・淡路大震災後にもみられたように、被災後の居住形態は大きな課題であり、そこでのインフラ環境整備のみならず、コミュニティの形成や文化への相互理解など時間をかけて解決すべき問題が多いことがわかってきた。
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