1988年に施行された「教育改革法」に基づき、各公立学校は地方教育当局の定める支出計画によって配分された予算の適正な執行を行うことが求められている。学校段階における予算案はそれに見合う成果を視野にいれて決定されなければならず、学校全体として追求する教育計画によって具体的に確立されていくことになる。各学校においてこのプロセスは多様であるが、校長を中核として理事会が責任を負っている点は共通している。また事務長(バーサー)の果たす役割も無視することはできない。このような様式は独立学校とほぼ似通っている。学校ごとの支出の最大費目となる教職員を対象とする俸給表の構造は、日本のそれとは大きく異なっているものの、人件費の圧縮と合理的な支出のあり方を将来的に構想する際に、大きな参考枠になると考えられる。教員給を年齢給とするのではなく、それを土台にしながら職務給のしめる比率を次第に大きくし、また職務給もその職務の難易度ならびに学校経営にしめる役割の多寡によって算出している英国の教員給は、今後の日本の教育改革において注目される仕組みであるといえよう。
|