研究概要 |
我々がこの1年間に得た成果は,ある系列の4次体の単数群の構造にっいての結果「On a family of real bicyclic biquadratic fields」(CRM Proceedings and Lecture Notes Vol.36(2004 American Mathematical Society))およびある系列の連立ペル方程式の正整数解の構造に関する「On a family of simultaneous Pell equations」(第9回Japan-Korea Joint Seminar on Number Theory(九重)2004 10月招待講演)が主なものである。双方共,筆者が以前から行ってきた特殊な実2次体および双4次体の単数群の構造に関する研究(CRM Proceddingsに発表したものもその一環である)が元になっている。日韓の整数論シンポジウムの講演では,M.A.BennettおよびP.G.Walshによって得られた連立ペル方程式に関する結果をABC予想と関連づけて一般化しており,代数体の単数群についての情報も同時に得られた。これは,ABC予想が,非常に単純な形の不定方程式に関する予想であるにもかかわらず意外にも代数的な構造にも深く関係していることを示していて興味深い。また福岡教育大の岸康弘氏との共同研究では,この双4次体の構造を用いて,P-ランクが2以上の類群をもつようなp-1次の巡回拡大の無限系列を構成しており,現在論文を投稿中である。一昨年に名古屋大学多元数理研究科で佐賀大の中原徹氏および名古屋大の佐藤潤也氏と開催した「Yokoi-Chowla conjecture and related problems」の報告集を本年度我々の編集で古川出版から発行(ISBN4-921090-99-8)しており,その中では,この共同研究の内容も発表している。
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