研究課題
基盤研究(C)
複素空間形内の部分多様体に関する積分幾何学は、その多重Kahler角度という概念を導入しこれを使って詳しく調べられることを代表者は以前に示した。複素射影平面の場合はさらに詳しい積分公式(Poincareの公式)が得られることを姜との共著論文で示した。これらのPoincareの公式の応用として、実曲面上のKahler角度の積分と面積の間の不等式を得た。この不等式からある種の変分問題の最小解が得られる。さらに、Lie群上の積分を、対称対を使って計算することにより、実曲面と余次元2の部分多様体に関するPoincareの公式も完成し発表した。Lie群上の積分を、対称対を使って計算する方法は複素射影空間以外の等質空間におけるPoincareの公式を定式化するときにも有効になることを代表者は示した。等質概Hermite多様体の概複素部分多様体に関する積分幾何学の研究を代表者は高橋、姜、酒井と共同で行なった。共著論文では等質概Hermite多様体の概複素部分多様体のPoincareの公式を定式化した。線形イソトロピー群が接ベクトル空間の外積代数に既約に作用している場合のPoincareの公式は、二つの概複素部分多様体の交点数の積分がそれぞれの体積の積の普遍定数倍になるという最も簡単な形になり、Santaloの示した複素空間形におけるPoincareの公式の一般化になっている。より一般的な設定のもとでも同様の積分公式が成り立つことを酒井は証明した。また酒井は、実空間形の場合の2次不変多項式から定まる積分不変量に関する交叉積分公式について、二つの部分多様体の不変量による具体的な表示を与えた。これはChern-FedererおよびC.S.Chenによる交叉積分公式のある種の拡張にあたる。
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